人
『人間の使命』
にんげんのしめい
ヨハン・ゴットリープ・フィヒテ·近代
「疑」「知」「信仰」3篇からなる対話篇。良心に従うことに使命を見出す。
哲学
この著作について
フィヒテが1800年に刊行した宗教哲学的対話篇。無神論論争によりイェーナ大学を追われた直後、ベルリンで一般読者に向けて執筆された。「疑」「知」「信仰」と題された3篇からなる。
【内容】
第1篇「疑」では、機械論的決定論の立場から自由がいかに失われるかを描く。第2篇「知」では観念論の立場が自我の自己産出として世界を構成するさまを示しつつ、それが内容を欠いた夢に陥ることを認める。第3篇「信仰」では、良心の声に従って行為することのうちに人間の使命を見出し、一切の現象を無限の生命の流れとして捉える汎神論的世界観へと到達する。
【影響と意義】
フィヒテ自身による知識学の通俗的展開として、専門用語を避けつつその核心を伝える書として広く読まれた。理論と実践、知と信仰の架橋を試みた点で、後のシェリングやヘーゲル、シュライエルマッハーへの橋渡しとなる。日本でも岩波文庫に収められて長く読み継がれてきた。
【なぜ今読むか】
世界の意味と自分の使命を結びつけ直そうとする実存的問いに、いまも応答する書である。
著者
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