大
『大学諺解』
だいがくげんかい
林羅山·近代
羅山が四書のひとつ『大学』を平易に解説した注釈書
哲学文化・宗教
この著作について
江戸初期の朱子学者林羅山らが、四書のひとつ『大学』を仮名交じり文で平易に解説した注釈書である。寛永9年(1632)頃の刊で、四書諺解(大学・中庸・論語・孟子諺解)の一冊として編まれた。
【内容】
本書は朱熹の『大学章句』に基づきつつ、漢文に親しまない読者にも内容を伝えられるよう、仮名交じりの平易な日本語で本文と注を訳述する。修身・斉家・治国・平天下という大学の理念を、近世日本の社会と倫理に向けて再提示する役割を担った。徳川初期の知識普及の戦略の一環として位置づけられる。
【影響と意義】
本書は近世日本における漢学受容の入門書として機能した。とりわけ荻生徂徠《おぎゅうそらい》は、本納での蟄居期に書物に乏しい中、本書一冊を精読することで独学で四書五経の世界に至ったと伝えられる。徂徠『学則』や年譜に記されるこの伝記的事実は、後の古文辞学誕生の背景を理解する上で重要な意味を持つ。
【なぜ今読むか】
難解な原典を平易な母語に橋渡しすることの思想的意義を考える上で示唆深い書物である。学習環境の制約が逆に独自の方法論を生むという徂徠の経験を含め、教育と思想形成の関係を考える素材となる。
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