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消費の経済理論

しょうひのけいざいりろん

ミルトン・フリードマン·現代

恒常所得仮説を提示しケインズ派消費関数を修正

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哲学経済学計量経済学

この著作について

ミルトン・フリードマンが一九五七年にプリンストン大学出版局から公刊した A Theory of the Consumption Function の邦訳。今井賢一・宮川公男訳、巌松堂出版より一九六一年に刊行された。消費は当期の所得ではなく長期的に期待される所得に依存するという恒常所得仮説を理論的に整備し、計量経済学的に検証した古典である。

【内容】

本書はまず、ケインズの絶対所得仮説に基づく単純な消費関数が、家計のクロスセクション・データと長期時系列データのあいだで矛盾した推定値を生む事実を確認する。その上で、観測される所得を恒常所得(長期的に期待される所得)と一時所得(過渡的・偶発的な所得変動)に分解し、消費は主として恒常所得の関数として動くという仮説を提示する。これにより、家計貯蓄率や乗数効果、ライフサイクル消費の議論に整合的な説明を与え、米国・英国・独などの実証データを丹念に分析していく。

【影響と意義】

本書はモディリアーニのライフサイクル仮説とともに現代のミクロ的基礎を持つマクロ経済学の出発点となり、一時的減税の景気刺激効果を強く疑問視する政策含意を引き出した。一九七〇年代以降の合理的期待革命、リカード等価命題、現代のDSGEモデルまで、本書の枠組は脈々と受け継がれている。

【なぜ今読むか】

所得が変動するなかで人がどのように消費を平準化するのかという問いは、現代の不安定雇用やセーフティネット議論にも直結する。経済学を読む技術と経済理論の射程を同時に学べる、名著中の名著である。

著者

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