砂
『砂の本』
すなのほん
ホルヘ・ルイス・ボルヘス·現代
ボルヘス晩年の無限と幻想を凝縮した短編集
文学
この著作について
ホルヘ・ルイス・ボルヘスが1975年にブエノスアイレスで公刊した短編集。76歳、ほぼ失明していた晩年のボルヘスが口述筆記で書き継いだ13編を収め、初期の『伝奇集』と並ぶ代表的短編集として読まれている。
【内容】
表題作「砂の本」は、見知らぬ男から持ち込まれた1冊の聖書状の書物が、どのページを開いても二度と同じページが現れず、始めも終わりもない無限の書物であると発覚する物語で、所有と無限の恐怖を凝縮した掌編である。そのほか、若いボルヘス自身と老ボルヘスが湖畔のベンチで出会う「他者」、歴史を消そうとする結社を描く「会議」、北欧神話のなかの不死を扱う「ウルリーケ」など、無限・重複・鏡像・記憶をめぐる古典的ボルヘス的主題が、晩年らしい平易な語り口で展開される。
【影響と意義】
マジックリアリズム、ポストモダン文学、ハイパーテキスト理論、近年のAI時代の文学論まで、「無限の書物」のモチーフが本書から繰り返し汲み出されている。ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』の書架のイメージにも直接影響を残した。
【なぜ今読むか】
短編ごとに独立して読めるため、ボルヘス入門としても手に取りやすい。
著者
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