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バガヴァッド・ギーター

上村勝彦 訳·古代

ヒンドゥー哲学の精髄を詩的に示すインド最重要の宗教哲学詩

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哲学

この著作について

インドの大叙事詩マハーバーラタの一節にして独立した宗教哲学詩で、ヒンドゥー教のなかでもっとも広く愛される聖典の一つ。

【内容】

全十八章、約七百詩節。舞台は戦場、王子アルジュナが眼前に並ぶ敵軍のなかに親族・師・従兄弟を見出し、戦うことを拒もうとする場面から始まる。彼の御者として姿を現した神クリシュナが、義務(ダルマ)に従って戦うことと執着を超えた自己を保つこととは両立しうる、と説く長い対話に入っていく。行為の結果に執着せず行為そのものに専心するカルマ・ヨーガ、最高の自己と宇宙の一体性を知るジュニャーナ・ヨーガ、神への愛と帰依に生きるバクティ・ヨーガの三つの道が、互いに補い合うものとして提示される。最終章、クリシュナが自らの宇宙的姿を顕し、アルジュナが身震いしながら拝する場面が有名である。

【影響と意義】

シャンカラ、ラーマーヌジャ以来のヴェーダーンタ哲学の議論の中心にあり、近代ではガンディー、ヴィヴェーカーナンダ、オーロビンド、ラダクリシュナンらがそれぞれの立場で再解釈した。T・S・エリオットやエマソン、ソローなど欧米の知識人にも影響を残し、オッペンハイマーが核実験の際に引用した一節でも有名である。

【なぜ今読むか】

やるべき仕事と内面の葛藤のあいだで揺れる場面は、現代人の日常にも絶えない。結果への執着を手放しつつ責任を果たすという、静かで力強い処方が短い詩の形で残っている。

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