戦
『戦術論』
せんじゅつろん
マキャヴェッリ·近代
マキアヴェッリの軍事論
哲学
この著作について
ニッコロ・マキャヴェッリがフィレンツェ郊外のオリチェッラーリ庭園で行われた討議を素材にまとめた対話篇で、著者自身が生前に刊行した唯一の主著。
【内容】
全七巻にわたり、古代ローマの共和政と軍制を模範として近代の戦争を論じる。歩兵中心の市民軍の編成、訓練、野営、行軍、会戦、包囲戦までが順を追って扱われる。火器の登場という当時の新しい現実を念頭に置きつつ、なおもローマ歩兵の規律と隊列こそが決定的であると主張する。その根底には、傭兵や外国人部隊ではなく、自国の市民が武器を取って共和国を守ることこそが自由を保証するというマキャヴェッリの一貫した信念がある。『君主論』『ディスコルシ』と響き合う共和主義的政治思想の実践的展開である。
【影響と意義】
本書は一般に『君主論』の陰に隠れがちだが、近代の常備軍と国民軍の思想、さらには十八世紀の啓蒙軍事思想や十九世紀のクラウゼヴィッツ『戦争論』へ至る流れを準備した。軍事と政治を切り離さずに論じる姿勢は、のちの戦略文化研究にも影を落としている。
【なぜ今読むか】
軍事や安全保障の議論が技術優位に傾きがちな時代に、「誰が、なぜ武器を取るのか」という制度設計の問題を根本から考え直せる。組織運営や危機管理のメタファーとしても、多くの示唆を含む古典である。
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