戦
『戦争論』
せんそうろん
クラウゼヴィッツ·近代
クラウゼヴィッツの軍事理論
哲学
この著作について
プロイセン軍の将軍カール・フォン・クラウゼヴィッツが生前の草稿を遺し、没後に妻マリーの手で世に送り出された近代軍事思想の金字塔。
【内容】
全八篇のうち、第一篇冒頭で「戦争は他の手段をもってする政治の継続である」という有名な命題が提示される。戦争の本質、目的と手段、絶対戦争と現実の戦争の差異、「霧と摩擦」と呼ばれる情報の不確実さ、軍事的天才の性格、防御が攻撃より本質的に強いという逆説、戦略と戦術の関係、攻撃と防御、戦争計画論へと話は進む。ナポレオン戦争の詳細な分析、フリードリヒ大王の戦役など、具体的な戦史が絶えず議論の母胎となっており、抽象的教義ではなく、実地と観念が絡み合う動的な理論が展開される。
【影響と意義】
毛奇(モルトケ)、モルトケ、シュリーフェンらドイツ参謀本部に大きな影響を与え、二十世紀にはレーニン、毛沢東、キッシンジャー、リデル・ハートらが自身の立場からそれぞれ読み直した。政治と軍事の関係を論じる古典として、戦略研究の基本文献となっている。経営戦略論・ゲーム理論にもメタファーとして幅広く輸入された。
【なぜ今読むか】
ウクライナや中東の現代戦争をめぐる報道で、「軍事的勝利と政治目的の関係」「情報の摩擦」「防御の優位」といった本書の語彙はいまも頻繁に参照される。戦争を抽象化せず、なお論理的に扱うための手引きとして、現代人が手に取る価値のある古典である。