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ニール・ポストマン·現代

テレビ時代の公共言説の退廃を予言的に解剖したメディア論の古典

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社会思想文化

この著作について

ニール・ポストマン(Neil Postman)が1985年に刊行したメディア論の古典(原題『Amusing Ourselves to Death: Public Discourse in the Age of Show Business』)。ニューヨーク大学のメディア生態学派を代表するポストマンが、テレビの浸透による公共言説の質的変容を論じた記念碑的著作である。

【内容】

本書の中心命題は、オーウェル一九八四年の恐怖による支配ではなく、ハクスリーすばらしい新世界の快楽による自発的服従こそが民主社会の真の危険であるというものである。ポストマンは十八世紀から十九世紀の活字文化が、複雑な論証を何時間も追う能力を市民に育てた時代であったことを、リンカーン・ダグラス討論などの具体例から示す。これに対してテレビは、視聴者を感情的断片に閉じ込め、政治・教育・宗教・ジャーナリズムをショービジネスのフォーマットに強制的に変換する。政治指導者は議論ではなく表情で選ばれ、教育は娯楽化し、宗教はテレビ伝道師のエンターテインメントとなる。本書末尾では、メディア生態学の視点から人々がどのようにメディアを批判的に扱うべきかの実践的処方箋が示される。

【影響と意義】

本書はマーシャル・マクルーハンメディアはメッセージであるの実践的応用版として、ジェリー・マンダー『テレビを排除するための四つの議論』、ダグラス・ラシュコフらデジタル批評家、ケイリー・クラインズマン『アルゴリズム社会論』に至る系譜を形づくった。

【なぜ今読むか】

ショート動画・ライブ配信・SNS演劇化が公共言説を覆う現在、テレビの診断を読み替えながら自分の情報環境を点検する訓練として最適の一冊である。

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