宿
『宿命』
しゅくめい
ユーセフ・シャヒーン·現代
イブン・ルシュドの晩年と追放を題材にした歴史劇映画。
哲学
この著作について
エジプトの巨匠ユーセフ・シャヒーン監督が1997年に発表した、フランス・エジプト合作の歴史劇映画である。アラビア語原題は Al-Massir、フランス語題は Le Destin。【内容】12世紀末アンダルシアのコルドバを舞台に、哲学者イブン・ルシュド(アヴェロエス)の晩年を描く。理性と寛容を説くアヴェロエスとその弟子たちが、台頭する原理主義勢力により著作の焚書と追放の憂き目に遭う過程を描き出す。歌と踊りを大胆に織り交ぜたミュージカル的な演出が特徴で、シャヒーン独自の祝祭的な映画言語によって、思想の自由を求める人びとの群像が立ち上がる。歴史的事実とフィクションを大胆に融合した作風が、重い主題に明るい風通しを与える。【影響と意義】1997年カンヌ国際映画祭の50周年記念賞を受賞し、シャヒーンの国際的評価を決定づけた。1990年代に高まったイスラーム原理主義への批判と、合理主義・芸術的自由の擁護というシャヒーンの政治的姿勢が色濃く反映されており、アヴェロエスを現代に呼び戻した作品として広く受容された。アラブ世界の表現の自由をめぐる議論にも一石を投じた。【なぜ今読むか】哲学者の思想が現実社会の中でどのように生き、迫害され、伝えられたかを、映像の力で体感できる稀有な作品である。
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