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方法への挑戦

ほうほうへのちょうせん

パウル・ファイヤアーベント·現代

「何でもあり」を唱え科学方法論の絶対性を解体した科学哲学の問題作

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哲学科学

この著作について

パウル・ファイヤアーベント(Paul Feyerabend)が1975年に刊行した科学哲学の問題作(原題『Against Method』)。トマス・クーンと並ぶポスト実証主義科学哲学の代表的著作として、以後の科学論・科学社会学の出発点の一つとなった。

【内容】

本書の中心命題は「何でもあり(anything goes)」である。ファイヤアーベントは科学を特権化する固有の普遍的方法論は存在せず、ガリレオニュートンアインシュタインら科学史上の革命的進歩はいずれも当時の方法論的規則を破ることによって達成されたと論じる。とりわけガリレオの地動説擁護は、一定の詐術・レトリック・権威主義的戦術をも駆使した複雑な政治的・修辞的闘争であったことが、一次文献の詳細な読解によって示される。「科学は無政府主義的営みである」というテーゼは、反科学主義ではなく、科学の創造性を型にはめる方法論的警察への抵抗として提示される。後半では伝統医学・呪術・占星術といった代替的知識形態を対等な吟味対象に加えるべきだという論争的主張も展開される。

【影響と意義】

科学哲学におけるラカトシュ、ポパーとの論争、STS(科学技術社会論)、フェミニスト認識論、ポストコロニアル科学論に至るまで、多数の後続研究の批判的起点となった。ファイヤアーベントは穏健な多元主義者とも急進的相対主義者とも読まれ、その両義性そのものが読者を刺激し続けている。

【なぜ今読むか】

AIと科学の関係が問い直される時代に、「科学的方法」と呼ばれるものの歴史的多様性を知っておくことは、過度の単純化に陥らないための基礎体力となる。

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