カ
『カラス事件』
からすじけん
ヴォルテール·近代
プロテスタント商人冤罪事件を糾弾するヴォルテールの諸論考の邦訳集。
哲学
この著作について
1761年トゥールーズで起きたプロテスタント商人ジャン・カラスの冤罪処刑事件をめぐる、ヴォルテールの諸論考を収録した邦訳書。中川信訳で1978年に冨山房百科文庫から刊行された。
【内容】
カラスは息子の自殺を、改宗を阻むための殺害と誤って告発され、車裂きの刑で処刑された。ヴォルテールは事件の不当性を確信し、遺族を保護しつつ各地に書簡を送り、関係資料を集め、世論を動かして再審を勝ち取り、1765年にカラスの名誉回復を実現させた。本書はその過程で書かれた覚書、抗議文、関係者宛の書簡などを収める。
【影響と意義】
同時期に書かれた『寛容論』とともに、宗教的不寛容と司法の暴走を理性と人道の名において批判する啓蒙思想の実践として、近代人権思想の歴史に深く刻まれた事件と著作である。一個人の知性が世論を動かし国家機構を動かしうることを示した点で、後の知識人の社会参加のモデルともなった。
【なぜ今読むか】
冤罪と差別、世論の責任という主題は、現代社会においても切実な意味を保ち続けている。
著者
関連する哲学者と話してみる
