フィロソフィーマップ

「非暴力は人間に与えられた最大の武器であり、人間が発明した最強の武器よりも強い」

ガンディー現代

ガンディーが「ハリジャン」1935年7月20日号に、非暴力は最強の破壊兵器よりも強いと書いた英文にもとづく言葉。

社会

この言葉について

非暴力は、人間の知恵が作り出したどんな破壊兵器よりも強い力だ、というガンディーの信念を表す言葉。

【背景】

インドの独立運動を率いたガンディーが、1935年に英文で書いた文にもとづく。彼は自らの運動をサティヤーグラハと名づけ、暴力によらない抵抗を貫いた。

【解釈】

暴力は一時的に相手を屈服させても、相手の心を変えはしない。非暴力は相手の良心に訴えて変化を促すものであり、それを貫くには、暴力に訴える以上の勇気と忍耐が要る。

【現代への示唆】

ガンディーの方法は、キング牧師らの運動にも影響を与えた。一方で、非暴力を説き続けるのは非現実的だと考え、別の道を選んだ運動家もいる。非暴力をどこまで貫けるかは、今も社会運動が向き合う問いである。

さらに深く

【出典】

ガンディー本人の英文に元がある。「ハリジャン」1935年7月20日号180ページの文で、彼の著作の選集にも「非暴力の力」の章として収められている。原文は「Non-violence is the greatest force at the disposal of mankind.」(非暴力は人類が用いうる最大の力である)で始まり、それは人間の知恵が考え出した最強の破壊兵器(weapon of destruction)よりも強い、と続く。この文でガンディーは非暴力を「武器」とは呼んでいない。非暴力に使われている語は force(力)で、weapon は比べる相手の破壊兵器の側にだけ出てくる。「人間に与えられた最大の武器」という日本語の形は、この二つを混ぜた訳になっている。

【よくある誤解】

「武器」と訳すと、非暴力を、相手を負かすための穏やかな戦術の一種と読みたくなる。だが原文はこのあと、破壊は人間の法ではない、人は必要とあらば兄弟の手にかかって死ぬ覚悟によってのみ自由に生きるのであって、兄弟を殺すことによってではない、と続け、どんな理由であれ他人に対する殺人や危害はすべて人類に対する罪だと結ぶ。非暴力は、効き目のある手段である前に、人間の生き方の法として語られている。運動の名サティヤーグラハも、単なる「非暴力・不服従」の言い換えではない。サンスクリット語の satya(真理)と āgraha(固く保つこと)から成る語で、ガンディー自身はこれを、真理と愛、すなわち非暴力から生まれる力と説明し、「受動的抵抗」という呼び方をやめたと書いている。

【この言葉のその後】

アメリカでは、マーティン・ルーサー・キング牧師がクローザー神学校で学ぶ中で初めてガンディーの考えに触れ、1959年には妻コレッタらとインドを訪れた。キングは、ガンディーの思想を、抑圧された人々が自由を求めて闘う上で、道徳的にも実際的にも唯一健全な方法だと論じている。サティヤーグラハの考えは南アフリカの反アパルトヘイト闘争にも影響を与えたが、ネルソン・マンデラは1964年4月20日の法廷陳述で、ウムコント・ウェ・シズウェという組織の結成に加わったこと、破壊活動を計画したことを認め、アフリカ人の指導者が平和と非暴力を説き続けるのは非現実的で誤りだと考えた、と語っている。非暴力の系譜にマンデラをそのまま並べるのは正確ではない。

この言葉を残した人物

「社会」の名言

ガンディーにこの言葉について聞いてみるこの名言をマップで見る名言の一覧へ