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「人民の、人民による、人民のための政治」

リンカーン近代

リンカーンがゲティスバーグ演説の結びで、人民の政府が地上から滅びないことを誓った一節。

社会

この言葉について

民主政治の理念を簡潔に言い表した言葉として知られる、歴史上最も有名な政治演説の一つの結びである。

【背景】

1863年、南北戦争の激戦地ゲティスバーグで行われた演説の一節である。わずか2分ほどの短い演説だったが、民主政治の理念を伝える言葉として長く記憶されることになった。

【解釈】

政府は人民のものであり(of the people)、人民によって営まれ(by the people)、人民のためにある(for the people)、という三つの言い方で、人民が主権をもつ政府の姿を言い表している。権力は国民から委ねられたものだという考えが、その根にある。

【現代への示唆】

民主主義が形だけになりがちな今、政治の本来の目的と、主権者としての市民の責任を思い出させてくれる。

さらに深く

【出典】

1863年11月19日、南北戦争のさなかにゲティスバーグに設けられた戦没者国立墓地の奉献式で、リンカーンが行った演説の結びの一節で、本人の発言である。式ではまず著名な雄弁家エドワード・エヴェレットが2時間話し、リンカーンは2番目の話し手だった。演説の手書き原稿は5種が知られ、ブリス稿は、リンカーンが書いた最後の写しで、署名と日付を入れた唯一のものである。その結びは、この国が神のもとで自由の新たな誕生を得ること、そして人民の、人民による、人民のための政府が地上から滅びないことを誓う形になっている(原文 government of the people, by the people, for the people, shall not perish from the earth)。

【よくある誤解】

この句だけを取り出すと民主主義の定義に見えるが、原文では、ここに眠る死者たちを無駄死にさせないという決意の、最後の項目である。演説はその前半で、いま我々は大きな内戦のさなかにあり、この国、あるいはこのように生まれ、このように献げられたどんな国も、長く持ちこたえられるかが試されている、と述べている。つまり結びの句は、内戦によって人民の政府という形そのものが滅びるかもしれない、という危機の中で語られた。また、原語は government で、日本語の定番訳にある「政治」よりも、政府や統治という意味に近い。

【この言葉のその後】

この三つ組の言い方には先例がある。リンカーンの法律事務所の共同経営者だったハーンドンは伝記の中で、説教者セオドア・パーカーの講演録「奴隷制がアメリカ国民に及ぼす影響」をリンカーンに渡したところ、リンカーンが、民主主義とは、すべての人民にわたり、すべての人民のための、すべての人民による直接の自治である、という一文に鉛筆で印をつけ、のちにゲティスバーグの演説で実質的に用いた、と書いている。同じ三つ組は、フランスの憲法の条文にも見える。1958年10月4日のフランス憲法は第2条で、共和国の原則を人民の、人民による、人民のための政府と定めている。

この言葉を残した人物

「社会」の名言

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