地
『地に呪われたる者』
ちにのろわれたるもの
フランツ・ファノン·現代
植民地支配の心理的暴力を告発しポストコロニアル思想の先駆となった著作
政治
この著作について
カリブ海マルティニック出身の精神科医にしてアルジェリア独立運動に参加したフランツ・ファノンが、死の床で口述筆記により書き上げた植民地解放思想の古典。
【内容】
本書は「植民地支配下の世界は二つに割られた世界である」という診断から始まる。支配者と被支配者、白人と有色人、都市と居留地、この対立は交渉では解消せず、最終的に暴力による決裂を呼び込む、とファノンは鋭く論じる。植民地支配は経済的搾取だけでなく、被支配者の身体感覚、家族関係、欲望、夢までを歪める構造的暴力であり、その内面化に抵抗するには、集団的な蜂起と新しい国民文化の形成が必要となる。さらに、独立後に旧植民地を支配する新興のブルジョワ層への警告、医療と精神病の植民地的歪みの分析、青年と農民の役割論などが続く。サルトルによる有名な序文が付されている。
【影響と意義】
アルジェリア独立戦争、アフリカ・アジア・ラテンアメリカの解放運動、アメリカ公民権運動、ブラック・パワー運動、そして後年のポストコロニアル理論に、深い影響を与え続けている。エドワード・サイード、ホミ・バーバらの仕事も本書との対話抜きには成立しない。
【なぜ今読むか】
世界各地で脱植民地化の議論、移民の権利、人種差別、先住民族の尊厳をめぐる論争が続く現代、本書は植民地主義の傷が現在までどう続いているかを認識する出発点となる。痛みと倫理が強く迫ってくる古典である。
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