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『ことばと対象』
ことばとたいしょう
ウィラード・ヴァン・オーマン・クワイン·現代
翻訳の不確定性テーゼを提示したクワイン言語哲学の主著
哲学
この著作について
ウィラード・ヴァン・オーマン・クワインが1960年に公刊した言語哲学の主著。『経験論の二つのドグマ』(1951)に続く彼の理論的展開の集大成で、20世紀後半の分析哲学に決定的転回をもたらした記念碑的著作である。
【内容】
全7章。有名な「ラディカル翻訳」の思考実験から「翻訳の不確定性」テーゼが導かれる。未知の言語を話す話者が「ガヴァガイ(Gavagai)」と発声しウサギを指す場面を、外部観察者はウサギそのものと訳すべきか、ウサギの未分離部分と訳すべきか、ウサギ性の時間的切片と訳すべきかを、発話の総体的証拠からは最終的に決定不可能だとする。言語的意味の身分そのものが揺るがされる結論。
【影響と意義】
デイヴィドソン、パトナム、ローティ、クリプキら後代の分析哲学の議論すべてが本書との対話を通じて展開した。現代のAI翻訳・意味論・認知科学にも深い影響を残す。ダメット『意味の理論とは何か』、デネット『志向姿勢』にも本書の議論が地盤として埋め込まれている。
【なぜ今読むか】
機械翻訳と大規模言語モデルが意味を扱う現代、「意味とは何か」を問う古典的出発点。AIが「理解している」と見える振る舞いの根本的含意を考える手がかりとしても有効である。
著者
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