経
『経験主義の二つのドグマ』
けいけんしゅぎのふたつのどぐま
W・V・O・クワイン·現代
分析と総合の区別を解体した分析哲学の画期的論文
哲学分析哲学認識論
この著作について
アメリカの哲学者W・V・O・クワインが1951年にThe Philosophical Review誌に発表した論文Two Dogmas of Empiricismの邦訳である。論文ではあるが頻繁に独立して参照されるため、ここでも独立した著作として扱う。邦訳は『論理的観点から』(勁草書房)所収。
【内容】論理実証主義が前提としてきた二つのドグマ、すなわち分析的真理と総合的真理の区別、および個々の言明を直接経験へと還元しうるという還元主義を批判する。前者については、分析性を意味の同義性で定義しようとする試みが循環に陥ることを示し、後者に対しては、検証は個別の文ではなく科学全体という体系で経験の法廷に立つという全体論(holism)を対置する。さらに、信念の網状の体系を経験との衝突に応じて全体として調整するという有名な比喩が提示される。
【影響と意義】論理実証主義の哲学的基礎を内側から崩したテクストとして、20世紀後半の分析哲学の進路を決定づけた。意味論・認識論・科学哲学を横断する波及力を持ち、デイヴィッドソン、パトナム、クリプキらの議論の前提となってきた。
【なぜ今読むか】「事実」と「定義」の区別が政治的・社会的論争でも揺らぐ現代において、知の全体論的構造を論じた本論文は、断片的事実の積み上げを過信する態度への根本的問い直しを与える。
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