霊
『霊魂の城』
れいこんのしろ
アビラのテレサ·近代
16世紀スペイン神秘主義の最高峰、テレサが描く魂の七つの住居
宗教神秘主義
この著作について
16世紀スペインのカルメル会修道女・神秘思想家アビラのテレサ(1515〜1582)が1577年に著した代表作(原題『Castillo Interior(内的城)』)。神秘主義文学の最高峰として、後世の宗教思想・心理学に絶大な影響を与えた。
【内容】
人間の魂を「内的城」に喩え、それが七つの「住居(mansiones)」からなると描く。第一の住居は罪と無知のなかで漠然と神を求める段階。住居を進むごとに、信仰の深まり、祈りの様式の変化、神秘体験が現れる。第六の住居では「霊的婚約」、最深の第七の住居では「霊的結婚」と呼ばれる神との合一が達成される。テレサ自身の長い祈りの実践と霊的体験を踏まえ、魂の進化の各段階で起こる困難(誘惑・乾燥・恍惚など)と必要な徳が具体的に語られる。本書は同じくテレサの『生涯(Libro de la Vida)』『霊魂の城』とともに「テレサ三部作」を成す。
【影響と意義】
スペイン黄金世紀文学の頂点の一つ。同時代のフアン・デ・ラ・クルス(十字架のヨハネ)と並び、近代神秘主義神学の双璧とされる。1970年に女性として初めて教会博士に列せられた。ベルクソン、ウィリアム・ジェイムズ、ユング、後の人間性心理学への影響も大きい。
【なぜ今読むか】
精神的成長の段階を内側から描く本書は、宗教の枠を超えて自己理解の古典として現代にも生きる。