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海の労働者

うみのろうどうしゃ

ヴィクトル・ユーゴー·近代

孤独な漁師の英雄的労働を描く長編小説

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哲学文学小説

この著作について

【内容】ユーゴーが1866年に発表した長編小説である。原題は Les Travailleurs de la mer。英仏海峡のガーンジー島亡命中に執筆された。難破船から蒸気機関を引き揚げようとする漁師ジリアットが、嵐と巨大な蛸と孤独に向かって闘いを挑む物語で、自然・機械・人間の三者の交差を主題とする。邦訳は潮出版社『ユゴー文学館』所収の辻昶・稲垣直樹訳が読まれている。

【影響と意義】レ・ミゼラブルが社会と人間性を、ノートルダム・ド・パリが運命と建築を主題としたとすれば、本書は自然と労働を主題に据える。一人の労働者の英雄的な行為を通して、近代の機械文明と原初的な自然との対峙を描く構図は独特で、メルヴィルの『白鯨』とも比較される傑作とされる。

【なぜ今読むか】労働を単なる生計の手段ではなく、人間の尊厳を立ち上げる行為として描く視座は、現代にも強く響く。海洋小説としての迫力と、ロマン主義的な人間賛歌が重なり合う独特の読書体験を提供してくれる。ユーゴーの幅広い作家性を知るうえで欠かせない一冊である。

著者

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