ド
『ドイツ神学』
どいつしんがく
(作者不詳)·中世
中世ドイツ神秘主義の通俗化に成功した名著
哲学神秘主義キリスト教
この著作について
【内容】14世紀後半に成立した作者不詳のドイツ神秘主義文献である。フランクフルトのドイツ騎士団司祭が著者と推定され、エックハルトやタウラーの神秘主義思想を平易な言葉で語り直す。神への自己放棄と被造物的我欲の克服を中核に据え、神性との合一を実践的に説く構成をとる。
【影響と意義】1516年、若きルターがこの匿名写本に序文を付して刊行し『Theologia Deutsch』と命名したことで一躍知られるようになった。ルター自身が福音の核心と重ね合わせたこの書は、宗教改革思想の地下水脈を形成し、後の敬虔主義やシュペーナーにも影響を及ぼす。エックハルト的神秘主義を改革派の言語へ橋渡しした稀有な文献である。
【なぜ今読むか】制度宗教の枠を超えて「神に向き合う自己」をどう捉えるかという問いは、世俗化が進んだ現代でも切実である。本書は中世神秘主義と宗教改革を繋ぐ結節点として、信仰の内面性を考える者に静かな手がかりを与えてくれる。
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