死
『死の不安に向き合う』
しのふあんにむきあう
アーウィン・ヤーロム·現代
実存的心理療法の立場から死の恐怖を扱う臨床的名著
心理哲学
この著作について
スタンフォード大学名誉教授で実存的心理療法を代表する精神科医アーウィン・ヤーロム(1931〜)が2008年に刊行した『Staring at the Sun: Overcoming the Terror of Death』の邦訳。
【内容】
ハイデガー、エピクロス、ショーペンハウアー、ニーチェといった哲学者の死の思想と、半世紀の臨床経験から得た数十のケースを織り合わせ、死の恐怖を「人生をいかに生きるか」と切り離せない問題として論じる。ヤーロムは恐怖の形態を、未生の生(unlived life)への後悔、孤立への不安、身体の崩壊への恐怖、無への直面という諸相に分類する。エピクロスの「死は私たちが在るところには存在しない」という命題、波の比喩による永続性の感覚、人生を物語として完成させる視点といった「思想的解毒剤」を、具体的な治療事例とともに紹介する。
【影響と意義】
本書はヤーロムの『実存主義的心理療法』『ヤーロムの心理療法ケースブック』と並んで、実存的心理療法の入門古典として位置づけられる。ターミナルケア、グリーフカウンセリング、死生学教育の現場で広く参照されてきた。
【なぜ今読むか】
避けられない死を前に、生をどう深めるかという古典的な問いに、臨床と哲学の両側から応える稀有な実践書である。