若
『若きウェルテルの悩み』
わかきうぇるてるのなやみ
ゲーテ·近代
ゲーテによるロマン主義感性の原型となった書簡体小説
哲学
この著作について
二十代半ばの若きヨーハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテが、自らの失恋体験と友人の自殺をもとに短期間で書き上げた書簡体小説で、ヨーロッパにロマン主義の嵐を呼び込んだ出世作。
【内容】
主人公ウェルテルは、田舎町で才気あふれる娘ロッテに出会い、深い恋に落ちる。しかしロッテには既に婚約者アルベルトがいて、ウェルテルは身分差と既存の道徳との板挟みに苦しみ、転地と職業で気を紛らそうとしても失敗する。彼は友人ヴィルヘルムに宛てた手紙のなかで、自然の美、民衆への愛、古典古代の記憶を語りながら、少しずつ絶望の深みへと沈んでいき、最後にアルベルトから借りたピストルで自らの命を絶つ。手紙の筆致は瑞々しく、感情の昂ぶりと静かな観察とが細やかに交錯する。
【影響と意義】
刊行直後からヨーロッパ中で「ウェルテル熱」と呼ばれる熱狂を呼び、服装や仕草までが模倣され、ウェルテル風の自殺が相次いだと伝えられる。啓蒙主義の冷静な理性とは別種の、感情と自然と想像力を前面に出す文学の流れをつくり出し、のちのロマン主義、シュトゥルム・ウント・ドラングの代表作と位置づけられている。
【なぜ今読むか】
SNS時代に若い命を自ら絶つニュースが絶えない現実の中で、本書は「感情を抑えきれない若者の手紙」としていまも切実である。同時に、熱狂的に自分の感情を語る人間の危うさと美しさを、一冊の書簡体小説として体験できる稀有な古典である。
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