朱
『朱子学と陽明学』
しゅしがくとようめいがく
島田虔次《しまだけんじ》·現代
朱子学から陽明学への展開を描く中国思想史の名著
哲学東洋哲学思想史
この著作について
中国思想史家の島田虔次《しまだけんじ》が朱子学から陽明学への展開を内面主義の系譜として描いた中国思想史の古典である。1967年5月に岩波新書青版637として刊行され、半世紀以上読み継がれてきたロングセラーだ。
【内容】
前半では北宋の周敦頤、張載、程顥、程頤を経て朱熹に至る宋学の形成過程を辿り、理気二元論と居敬窮理の修養論を中心に朱子学の体系を解説する。後半では明代の王陽明を軸に据え、心即理、知行合一、致良知という思想を朱子学の必然的な発展として位置づける。陽明学を朱子学の対立物としてではなく、内面化と主体化の徹底として捉える視点が一貫しており、思想史の運動を内側から描き切る筆致が特徴だ。
【影響と意義】
戦後日本における中国思想史研究の出発点に位置する一冊で、宋明理学を内面主義の運動として捉える島田の視座は、丸山眞男《まるやままさお》の日本思想史と並んで戦後の東アジア思想研究の枠組みを形作った。学術新書の傑作の一つに数えられる。
【なぜ今読むか】
外的規範ではなく内なる良知に従って生きるという陽明学の問いは、自分の判断軸を持ちにくい現代にも切実に響く。新書一冊で東アジアの哲学的伝統に深く分け入れる、希有な書物である。
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