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出家とその弟子

しゅっけとそのでし

倉田百三·現代

親鸞《しんらん》と弟子を軸に恋愛と宗教の相剋を描いた大正期の戯曲。

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哲学

この著作について

倉田百三が大正初期に発表した戯曲である。1916年に同人誌『生命の川』に掲載され、翌1917年に岩波書店から単行本として刊行された。爆発的なベストセラーとなり、青年必読の書と呼ばれて大正教養主義を象徴する一冊となった。【内容】親鸞、その子善鸞、弟子唯円を主要人物に据え、信仰と恋愛、性欲と救済、罪と赦しの相剋を六幕構成で描く。親鸞の思想を骨格に置きながらも、史実を離れて若者の苦悩と魂の救いを劇的に表現する。唯円と遊女かえでの恋を軸とする物語は、宗教文学の枠を超えて広い読者に届き、当時の青年層の心を捉えた。終幕近くで親鸞が示す赦しの言葉は、悪人正機の思想の戯曲的な肉化として読み継がれてきた。【影響と意義】大正教養主義の象徴的著作のひとつとなり、フランス語訳にはロマン・ロランが序文を寄せたことで国際的にも知られた。親鸞理解の通俗化を招いたという批判もあるが、宗教を生の根本問題として若者に開いた功績は大きい。西田幾多郎《にしだきたろう》、鈴木大拙《すずきだいせつ》らも好意的に評価したと伝えられる。【なぜ今読むか】信仰と欲望、罪と赦しという普遍的主題を、平易な台詞と劇的構成で味わえる。青春期の宗教的覚醒の記録としても今なお新鮮である。

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