百
『百論』
ひゃくろん
提婆·古代
提婆による中観派論書。三論宗の根本聖典の一つ
仏教中観派三論宗
この著作について
龍樹《りゅうじゅ》の高弟・提婆(アーリヤデーヴァ、3世紀)による中観派の論書で、婆藪開士の註とともに鳩摩羅什により404年に漢訳された。大正新脩大蔵経第30巻No.1569に収められる。
【内容】百の偈頌(現存は前半のみ)から構成され、当時インドで有力だった外道(非仏教)諸派の見解を、空・無我の立場から逐一論破していく構成をとる。神我論・実在論・因中有果論・微塵説・常住説など、論駁の対象は形而上学から宗教実践まで多岐にわたる。論争的・対話的な文体で、相手の主張を引用しては中観の立場から反駁を加えていく。
【影響と意義】『中論』『十二門論』とともに「三論」と呼ばれ、中国・日本における三論宗の根本聖典として尊重されてきた。鳩摩羅什訳によって東アジアの大乗仏教思想に決定的な影響を与え、空観・無自性の理解を広める基礎文献となった。日本では奈良時代に三論宗の主要典籍として導入され、南都六宗の一翼を担う基礎経典として伝えられた。
【なぜ今読むか】中観思想を内側から学ぶには『中論』が筆頭に挙げられるが、本論はより論争的・実践的な角度から空の立場を示す点で補完的価値を持つ。仏教論理学の源流に触れたい読者にとって参照する価値がある。
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