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西

西銘

せいめい

張載·中世

民は同胞、物は与なりと説く張載の道徳的銘文。

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哲学

この著作について

北宋の張載が書斎の西壁に掲げた短い銘文である。もとは「訂頑(がんなるをただす)」と題されていたが、程頤の勧めにより「西銘」と改題された。岩波文庫近思録所収のほか、複数の儒学アンソロジーで読むことができる。【内容】「乾を父と称し、坤を母と称す」と始まり、宇宙そのものを一つの家族として捉える壮大な世界観を示す。「民は吾が同胞、物は吾が与なり」と宣言し、天地万物との一体性に基づく道徳的人生観を凝縮した形で提示する。貧困者・障害者・孤独者に対する慈愛の責務、生を受けたことへの深い感謝、死への安らぎといった倫理的態度がここから導出される。短文ながら宇宙論と倫理学が緊密に結ばれ、形而上学が直ちに生活倫理へと転化する。【影響と意義】程頤・朱熹を通じて道学倫理の中核となり、朱熹は『西銘解』を著してその思想的射程を詳説した。「民胞物与」の精神は東アジア儒学における普遍的同胞意識の源泉として、現代に至るまで参照され続けている。日本の幕末・明治期の思想家、近代の儒学復興運動においても重要な参照点となった。【なぜ今読むか】格差・分断・環境危機が深刻化する現代において、万物との一体感に基づく倫理は古びた理想ではなく、今なお切実な指針となりうる。

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