三
『三教指帰』
さんごうしいき
空海《くうかい》·古代
儒・道・仏三教を比較し仏教の優位を説いた空海24歳の出世作
宗教日本
この著作について
空海が797年、24歳のときに書き上げた日本最古級の戯曲的思想書。若き日の空海が貴族の大学寮を離れ仏道に赴く決意を、三人の登場人物による仮託対話として物語化した、日本思想史における出家宣言の最初の記念碑である。
【内容】
序文で空海は、自らの大学寮での学問に対する違和感と、山林で出会った沙門からの影響を告白する。本文は儒教を説く亀毛先生、道教を説く虚亡隠士、仏教を説く仮名乞児の三人が、蛭牙公子なる青年を説得する競合対話の形式をとる。亀毛の忠孝と立身、虚亡の神仙と長生の教えをそれぞれ乗り越えた上で、仮名乞児が仏教による最高の救済を説いて決着を見る。漢詩文の技巧を凝らした六朝風の華麗な文体が光る。
【影響と意義】
日本人が著した三教比較の最古の作品として思想史的に決定的な位置を占め、青年空海の思想形成の一次史料としても稀少。後の『十住心論』『秘蔵宝鑰』の体系的思想の原点がここにある。日本における宗教哲学の出発点の一つ。
【なぜ今読むか】
「何を信じるか」を自己の魂の問題として自分自身に問う、青年期の思想選択の古典。
著者
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