フィロソフィーマップ

留魂録

りゅうこんろく

吉田松陰·近代

処刑前夜の吉田松陰が門人に託した最後の思想的遺言

Amazonで見る
哲学日本

この著作について

吉田松陰が1859年10月、安政の大獄により江戸で処刑される前夜、伝馬町牢獄で書き上げた最後の遺書。門人高杉晋作《たかすぎしんさく》らに託され、松下村塾の思想的遺産として明治維新の精神的支柱となった、近代日本思想史の重要文書である。

【内容】

全16節。松陰は自分の生涯を30年の四季になぞらえ、若くして処刑されようとも「春夏秋冬」を一生のうちに全うしたから悔いはないと書く。「身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留めおかまし大和魂」という辞世が巻頭に置かれ、孟子の「浩然の気」や「一念の誠」を骨格に、死を目前にした人間が守るべき倫理、志を継ぐ者への期待、公と私の区別、同志への惜別が簡潔に綴られる。全文2000字ほどの短い文書に、松陰思想の核心が凝縮されている。

【影響と意義】

松下村塾の門人たちに回覧され、高杉晋作の奇兵隊、伊藤博文・山県有朋の維新後の政治姿勢の精神的出発点となった。明治以降、教育勅語的「献身」のテクストとして、戦後は敗戦体験を経た精神史研究の対象として、繰り返し読み直されてきた。

【なぜ今読むか】

短い分量で、死に臨む人間がどのように言葉を残すかの古典を体験できる。

著者

関連する哲学者と話してみる

Amazonで見る