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ブレーズ・パスカル·近代

イエズス会の道徳神学を痛烈に批判したパスカル匿名書簡

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哲学宗教

この著作について

ブレーズ・パスカルが1656年から翌年にかけて匿名で連続刊行した全18通の公開書簡。副題は「地方の友人へ」。ジャンセニスム派の立場からイエズス会の道徳神学と当時のソルボンヌ神学部を痛烈に批判した、17世紀フランス散文の最高傑作の一つである。

【内容】

地方在住の友人宛ての書簡という設定で、神学論争の争点を一般読者にも分かる日常語で解きほぐす。まずジャンセニスム派の神学者アントワーヌ・アルノーの断罪問題を取り上げ、次にイエズス会の「緩やかな道徳(カジュイストリー)」、とくに殺人や高利貸しを状況次第で正当化する個別事例主義を、諧謔《かいぎゃく》と皮肉を駆使して解体する。厳密な論理と軽妙な対話、戯画と正面攻撃が交互に現れる独自の文体が全篇を支える。

【影響と意義】

フランス散文の古典としてヴォルテール、モリエール、近代ジャーナリズムに直接の影響を与え、近代フランス語散文の基礎を築いたとされる。また「カジュイストリー」という語に以後長く悪いイメージを与え、応用倫理学の再評価(トゥールミンら)を経るまで復権を待つことになった。

【なぜ今読むか】

抽象的な倫理論ではなく、具体的状況でどう生きるかを問う現代の応用倫理学にも、両面から効く必読の古典である。

著者

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