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富の再分配の理論についての考察

とみのさいぶんぱいのりろんについてのこうさつ

トマ・ピケティ·現代

若きピケティの博士論文、不平等研究の出発点

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哲学経済学不平等

この著作について

二十二歳のトマ・ピケティが一九九三年にロンドン・スクール・オブ・エコノミクスとパリのEHESSの共同博士課程に提出した博士論文。原題は Essais sur la théorie de la redistribution des richesses。書籍として一般刊行はされておらず邦訳もないが、フランス経済学会の最優秀論文賞を受賞し、後年の長期不平等研究と二十一世紀の資本への出発点となった著作である。

【内容】

本論文は、富の再分配を扱う三本の理論的論考から構成される。資本市場の不完全性のもとでの最適課税、世代間の遺産相続と富の集中、そしてエージェントの異質性を考慮した再分配政策の効果分析が中心テーマとなる。新古典派最適課税論の枠組を用いつつ、富の集中が放っておけば自己強化する傾向を持つことを数理モデルで示し、累進課税と社会保障の理論的根拠を新たに整え直そうとする。後年の歴史的・実証的研究とは方法こそ異なるものの、関心の核は既にここにある。

【影響と意義】

本論文はマサチューセッツ工科大学への助教授任用と、その後パリへの帰還、世界トップ所得データベースの構築、そして『二十一世紀の資本』『二十一世紀の資本主義論』資本とイデオロギーへと続く長大な研究プロジェクトの理論的助走となった。現代の不平等研究を読むうえで知っておきたい原点である。

【なぜ今読むか】

邦訳は存在しないが、ピケティ思想の最初期の問題意識を理解しておくことは、彼の後年の歴史実証研究を読み解く鍵になる。経済学者の長い学問的歩みを背景込みで考えたい読者にとって、知っておく価値の高い著作である。

著者

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