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連続性の哲学

れんぞくせいのてつがく

チャールズ・サンダース・パース·近代

パースの連続性概念と宇宙論を論じた著作

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哲学

この著作について

アメリカの数学者・論理学チャールズ・サンダース・パースの後期思想の核をなす「連続性主義(シネキズム)」に関する論文・草稿を集成した邦訳著作。

【内容】

本書は、連続性を宇宙のもっとも根本的な原理として捉える立場から始まる。パースは、物質と精神、偶然(ティキズム)と法則、進化的愛(アガピズム)といった諸概念を組み合わせて、独自の進化論的宇宙論を展開する。現象のカテゴリー論(第一次性・第二次性・第三次性)、記号の三分類(アイコン・インデックス・シンボル)、仮説形成のための推論であるアブダクション、そして実用主義(プラグマティシズム)の真理論までが、連続性という一貫した主題のもとに位置づけ直される。断片的な草稿も多いが、全体として壮大な体系への草描が浮かび上がる。

【影響と意義】

プラグマティズムの創始者として知られるパースの実像が、実は論理学・記号論・宇宙論にまたがる形而上学者であったことを本書は明らかにする。ジェイムズやデューイが一般化したプラグマティズムの源流を確かめ、パース記号論が現代の言語哲学・認知科学・AI研究に与え続ける影響を裏づける一冊でもある。

【なぜ今読むか】

論理学と宇宙論を一人の人間が結びつけようとした壮大な思考に立ち会える。科学と哲学の境界を越えて思索したい読者、複雑系や進化論を哲学的に味わいたい読者にとって、知的冒険の宝庫となる書物である。

さらに深く

【内容のあらまし】

本書はパースが一八九八年にケンブリッジで行った連続講演を中軸に、後期思想の核となる「連続性主義(シネキズム)」を編み直した邦訳書である。生前にまとまった書物としては刊行されなかった彼の思考が、講演の流れに沿って通読できる構成になっている。

冒頭に置かれるのは、パースが宇宙の根本原理として連続性を据える論述である。点と点のあいだに必ず別の点が挟まる、線と線のあいだに必ず別の線がある、という連続体の数学的直観を、彼は形而上学にまで広げる。物質と精神、過去と未来、自分と他者のあいだも、断絶した二項ではなく、互いに浸透しあう連続体として捉え直されるべきだ、というのが基本テーゼである。

中盤では、パース独自のカテゴリー論が展開される。第一次性は、ただそれ自体としてある質、感じられる赤さや痛みのような、関係を持たない単独の現れである。第二次性は、抵抗、衝突、行為と反作用、つまり二者のあいだに発生する事実性である。第三次性は、習慣、法則、媒介、解釈、つまり連続的な秩序づけのはたらきである。連続性主義は、この第三次性を世界の根本に置こうとする立場として位置づけられる。

続いて記号論が展開される。パースは記号を、対象との関係に応じてアイコン(類似による記号、肖像画など)、インデックス(因果や指示による記号、煙や指差しなど)、シンボル(規約による記号、言葉など)の三つに分類する。さらに、記号は記号自身、対象、解釈項という三項関係をなし、解釈項がまた次の記号となって連鎖していく。意味は固定された対応ではなく、無限に続く解釈の連続体として現れる。

後半では、進化論的宇宙論が描かれる。パースは「ティキズム(偶然主義)」として、純粋な偶然が世界の創造的契機であると論じ、続いて「アガピズム(進化的愛主義)」として、宇宙が愛の原理によって秩序を獲得していくと述べる。一見、神秘主義的に響くが、その背後には連続性と第三次性の論理が貫かれている。最後にプラグマティシズムが論じられ、概念の意味は実践的な効果の連続性のなかで決まると結ばれる。

読み終えると、論理学・記号論・宇宙論・倫理がひとつの大きな連続体として組み合わされた、壮大な未完の体系の輪郭が見えてくる。

著者

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