選
『選択のパラドックス』
せんたくのぱらどっくす
バリー・シュワルツ·現代
選択肢の多さがかえって幸福を損なう逆説を論じた行動経済学の古典
心理経済
この著作について
スワースモア大学の社会心理学者バリー・シュワルツ(1946〜)が2004年に刊行した『The Paradox of Choice: Why More Is Less』の邦訳。
【内容】
豊かな現代社会では選択肢が増えれば幸福が増すと信じられてきたが、実際にはむしろ選択疲れと後悔と機会損失感を生み、満足度を下げているという逆説を、心理学・行動経済学の実験結果に基づいて論じる。最大化型(最善を求める)と満足化型(十分なものでよいとする)の二類型を導入し、最大化型ほど豊かな環境で不幸になりやすいことを示す。買い物・キャリア・恋愛・医療など具体的な領域に即して「選びすぎないための実践戦略」を提示する後半が、読み物としてとくに評価された。
【影響と意義】
本書はカーネマン『ファスト&スロー』、アイエンガー『選択の科学』と並ぶ、行動経済学の一般向け代表作の一つとなった。マーケティング、UX設計、医療意思決定、教育選択といった分野で広く参照され、「選択肢を絞り込む」設計思想(デフォルト・選択アーキテクチャ)の理論的後ろ盾を提供した。
【なぜ今読むか】
無限の選択肢を前にして決められず疲弊する現代の読者に、「選ばないこと」の価値を取り戻す手がかりを与えてくれる。