フィロソフィーマップ

三部作(Opus tripartitum)

さんぶさく

マイスター・エックハルト·中世

エックハルト未完の大著作構想・三部構成のラテン語スコラ哲学

Amazonで見る
哲学宗教神秘思想

この著作について

13〜14世紀ドイツの神秘思想家マイスター・エックハルトが構想したラテン語による未完の大著作(Opus tripartitum)である。スコラ的方法を駆使して「神性の根底」を体系的に展開しようとした野心的な計画であり、序論と一部のみが現存する。エックハルトのラテン語著作の中核をなす作品群である。

【内容】

本構想は三部構成で計画された。第一部「命題集(Opus propositionum)」は1000以上の哲学・神学的命題の体系、第二部「問題集(Opus quaestionum)」はトマス・アクィナス神学大全の構造に対応する諸問題の論究、第三部「註解集(Opus expositionum)」は聖書諸書および説教集である。実際に著作として残存するのは『総序文』『創世記註解』『創世記の譬喩について』『出エジプト記註解』『知恵の書註解』『ヨハネ福音書註解』など註解集の一部にすぎない。それでも「神は存在そのものなり(esse est Deus)」という根本テーゼや、被造物の無性、神性の根底(Grunt)といった鋭利な命題が体系的に展開され、後の神秘思想全体の礎となった。

【影響と意義】

ドイツ語説教集と並ぶエックハルトの主要著作として、近代以降のドイツ観念論現象学・東西比較思想で繰り返し参照されてきた。邦訳は中山善樹訳『エックハルト ラテン語著作集』全5巻(知泉書館、2005〜)に分散所収されている。

【なぜ今読むか】

スコラ的厳密さと神秘思想が交差する稀有な思考実験として、現代の存在論にも刺激を与え続けている。

著者

関連する哲学者と話してみる

Amazonで見る