西
『西周《にしあまね》の政治思想:規律・功利・信』
にしあまねのせいじしそう
菅原光·現代
規律・功利・信から西周を読み直す本格研究
哲学
この著作について
東京大学に提出された博士論文を基にした、西周政治思想研究の本格的な単著である。ぺりかん社から2009年に刊行された。
【内容】
西周には「日本哲学の父」と「軍国主義の祖」という相矛盾する評価が併存してきた。著者の菅原光はこの両義性を正面から引き受け、軍人社会論、法秩序論、士君子の哲学としての功利主義、啓蒙戦略としての宗教論という4つの視点から西の思想体系を再構成する。軍人勅諭の起草に関与した西が、なぜ同時に個人の自律を重視する功利主義を語り得たのか。著者は「規律」「功利」「信」という三つの鍵概念で、その理路を明らかにしていく。
【影響と意義】
本書は西周研究を従来の翻訳語論や啓蒙思想史の枠から解き放ち、政治思想史の本格的な対象へと押し上げた点で画期的である。明治国家の精神的基盤を問い直す研究として、思想史・政治学の双方で参照されている。
【なぜ今読むか】
国家の規律と個人の幸福をどう両立させるかという西の問いは、安全保障と自由の緊張をめぐる現代の課題そのものである。日本における自由主義の起源を問う読者に格好の一冊である。
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