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モナドロジー

ライプニッツ·近代

世界を「モナド」から説明する独自の形而上学

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哲学

この著作について

外交官・数学者・哲学者として多方面で活動したライプニッツが18世紀初頭、友人のためにフランス語で執筆した90節の短い形而上学綱要。

【内容】

世界の究極の構成要素を「モナド」と呼ばれる無数の精神的単位と定める。モナドは「窓を持たず」外部から直接影響を受けないにもかかわらず、神による「予定調和」のもとで宇宙全体と整合的に映し合うと論じられる。充足理由律(すべての事柄には十分な理由がある)と矛盾律という二つの根本原理、可能世界のうち最善のものが神によって選ばれたとする「最善説」、すべてのモナドが生命を持ち階層的に組織されるとする宇宙像が、ごく凝縮された形で展開される。

【影響と意義】

個々の存在が独立しながらも全体として調和するという発想は、デカルト心身二元論の難問を別の角度から解こうとする試みだった。ヴォルフを介してドイツ啓蒙とカントに流れ、20世紀にはホワイトヘッドのプロセス哲学やドゥルーズの読解に継承された。可能世界論はルイスやクリプキの現代分析形而上学でも活きている。

【なぜ今読むか】

わずか1時間で読み通せる短さの中に、近代合理主義形而上学のほぼ全主題が凝縮されている点が比類ない。世界の成り立ちを根本から構想する思考実験として、何度読み返しても新しい含意が立ち上がる。

さらに深く

【内容のあらまし】

本書は90の節からなり、各節はわずか数行で書かれる。第1節から第9節までは基本概念の導入である。モナドとは部分を持たない単純実体であり、これ以上分割できない宇宙の真の原子である。物質的な原子と異なり、モナドは延長を持たず、形も持たない。生まれることも消えることもなく、神の創造によって一挙に存在し、神の絶滅によってのみ消える。モナドは「窓を持たない」、つまり外部から何も入ってこず外部へも何も出ていかない、という有名な命題が置かれる。

第10節から第30節は、モナドの内的状態を扱う。窓を持たないにもかかわらず、モナドは状態を絶えず変化させている。その内的変化の原理がモナドそれぞれの「欲求」であり、ある状態から次の状態への移行を促す力である。状態そのものは「知覚」と呼ばれ、宇宙全体の表象を含んでいる。各モナドは宇宙全体を、自分の視点から、独自の鮮明さの度合いで映し出す生きた鏡である。

第31節から第48節で論理学的・神学的原理が立てられる。すべての真理は二つの大原理に従う。矛盾律と充足理由律である。矛盾律はその否定が矛盾を含む真理を扱い、必然的真理を支える。充足理由律は「なぜ他のあり方ではなく、このあり方になっているのか」に対して必ず十分な理由があるという原理で、偶然的真理を支える。後者の根拠を遡ると最終的に必然的存在者である神に至り、ここから神の存在証明が引き出される。

第49節から第62節では、モナドの段階構造と予定調和が論じられる。モナドには明瞭な知覚を持つ理性的精神、感覚と記憶を持つ動物の魂、混乱した知覚しか持たない裸のモナドという階層がある。窓を持たないモナドどうしがなぜ整合した世界を構成できるのかという難問に対して、ライプニッツは神があらかじめすべてのモナドの状態を完全に整合するよう設定した、と答える。これが予定調和である。

第63節から第90節は形而上学から道徳・神学への展開となる。神は無限の可能世界を考察したうえで、最善の世界を選んで創造した。悪が存在するのは、より大きな善のためにそれが必要だったからであり、現実世界は可能なかぎり最善の世界である、と論じられる。理性的精神の集まりは「神の都」を構成し、自然界の物理的調和と道徳界の恩寵的調和は同じ神によって予定されている、という壮大な結びで88節以降が閉じられる。

著者

この著作で扱う問い

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