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むすめじだい

ボーヴォワール·現代

ボーヴォワールの自伝

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哲学

この著作について

シモーヌ・ド・ボーヴォワールが五十歳の節目に書いた全四部の回想録の第一巻で、一人の少女が知識人として立ち上がっていく過程の記録。

【内容】

敬虔なカトリックのブルジョワ家庭に生まれた著者が、ノートルダム・デ・ゾワゾー女学院で受けた教育、敬愛と屈折を含む母との関係、父の没落と一家の経済的な翳り、親友ザザとの濃密な友情と彼女の早すぎる死、そして十代末の信仰の喪失が、時間を丁寧に追って描かれる。ソルボンヌで哲学を学ぶようになってからはメルロ=ポンティやレヴィ=ストロースと並んで教壇に立ち、やがてサルトルと出会い生涯にわたる知的伴侶を得るところで物語は閉じられる。世界と自分を観察する冷徹な視線と、少女時代の生々しい感情の記憶とが、巧みに編み込まれている。

【影響と意義】

第二の性で女性の自由の哲学を体系化した著者が、自らの自己形成を素材に「一人の女がいかに自由になるか」を具体的に跡づけた点で、女性の自伝文学の古典的一冊となった。以後の『女ざかり』『或る戦後』とあわせて、二十世紀フランスの知的風景を内側から証言する資料でもある。

【なぜ今読むか】

家庭の期待、信仰、友情、進学と職業選択に揺れた十代の感情は、時代を問わず多くの若い読者にまっすぐ届く。自分自身の自立の過程を言語化したい人にとって、信頼できる一冊の見本である。

著者

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