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インド・ヨーロッパ諸語における母音の原初体系に関する覚書

いんどよーろっぱしょごにおけるぼいんのげんしょたいけいにかんするおぼえがき

フェルディナン・ド・ソシュール·近代

ソシュール21歳の比較言語学の画期的論文

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哲学

この著作について

ソシュールが21歳でライプツィヒから1878年に発表した、比較言語学の画期的論文である。原題はMémoire sur le système primitif des voyelles dans les langues indo-européennes。本邦完訳は刊行されていない。

【内容】

本書でソシュールは、印欧祖語の母音組織を「内的再建」の方法によって統一的に説明することを試みた。当時の青年文法学派は音法則の例外なき適用を強調し、表面的な対応関係から祖語形を復元する手法をとっていた。ソシュールはこれに対し、体系全体の整合性から逆算して未知の音素の存在を仮説的に推定する手続きを採った。その結果として導入されたのが「ソナント係数」である。後にヒッタイト語の発見によって「喉音」(laryngeal)として実在が確認され、20世紀印欧語学の基盤となる重要概念となった。当時の評価は限定的で、青年文法学派の原理と衝突したため受け入れに時間を要したが、現在では印欧語研究の最重要業績の一つに数えられる。

【影響と意義】

本書は構造主義以前のソシュールが、すでに体系性の発想で言語を捉えていたことを示す。後の一般言語学講義との連続性を確かめる原点であり、20世紀言語学全体の方向を規定した著作である。

【なぜ今読むか】

青年期のソシュールがいかに鋭い体系思考を備えていたかを知ることは、言語学だけでなく、構造的思考そのものを学ぶうえで意義深い。

著者

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