マ
『マクティーグ』
フランク・ノリス·近代
アメリカ自然主義文学初期の傑作と評される犯罪心理小説
文学
この著作について
アメリカの作家フランク・ノリス(1870〜1902)が1899年に刊行した長編小説『McTeague: A Story of San Francisco』の邦訳。アメリカ自然主義文学の最初期の傑作として位置づけられる。
【内容】
サンフランシスコの貧民街で資格なしの歯科医として働く大男マクティーグは、患者の従妹トリーナと結婚する。直後にトリーナが宝くじで五千ドルを当てたことから、二人の関係は徐々に変質してゆく。トリーナが金への執着で吝嗇となり、マクティーグは免許剥奪を機にアルコールへ逃避し、嫉妬と暴力の連鎖の末に妻を殺害する。逃亡した彼は宿敵マーカスと共に死の谷で対峙し、灼熱の砂漠で互いに手錠で繋がれたまま動けなくなって幕を閉じる。
【影響と意義】
本書はゾラ的自然主義をアメリカ西海岸の風土に移植した最初期の達成であり、ドライサー『シスター・キャリー』に直接影響を与えた。エイゼンシュテインの未完映画化計画、エリック・フォン・シュトロハイムの『グリード』(1924年)といった映画史的重要作品の原作としても知られている。
【なぜ今読むか】
人間の運命を遺伝と環境の決定論として描く文学手法を、アメリカの風土で最も生々しく試みた古典である。