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シ

『シスター・キャリー』

セオドア・ドライサー·現代

アメリカ自然主義文学を確立したドライサーのデビュー長編

文学

この著作について

アメリカの作家セオドア・ドライサー(1871〜1945)が1900年に刊行した長編小説『Sister Carrie』の邦訳。アメリカ自然主義文学の代表作として位置づけられる。

【内容】

ウィスコンシンの田舎娘キャロライン・「キャリー」・ミーバーは、十八歳でシカゴへ出てくる。靴工場で過酷な労働に耐えきれず、セールスマンのドルーエに身を寄せ、続いて社交界のホテル支配人ハーストウッドに惹かれていく。ハーストウッドは妻子と職を捨てキャリーをニューヨークに連れ去るが、新天地で職を得られず転落していく一方、キャリーは舞台女優として成功を掴んでゆく。両者の運命の対比を通じて、都市・経済・欲望の力に翻弄される人間像が描き出される。

【影響と意義】

刊行直後、当時のアメリカの清教徒的道徳観に衝撃を与え出版社に発禁処分を取り下げさせるなど論争を呼んだが、後に F.O.マシーセンら批評家によって「アメリカ自然主義の決定的傑作」と再評価された。シンクレア・ルイス、ジョン・ドス・パソス、リチャード・ライトら後続のアメリカ社会派文学の出発点として読み継がれている。

【なぜ今読むか】

都市と消費の力が個人の運命を決めてゆく構造を最も率直に描いた古典として、アメリカ近代資本主義の文学的記録となる。

さらに深く

【内容のあらまし】

物語は1889年8月、シカゴ行きの午後の汽車から始まる。キャリーの持ち物は小さなトランク、ワニ革まがいの手提げ、切符と姉の住所の紙切れと4ドルを入れた黄色い革の財布だけだ。語り手は、十八で家を出た娘は救いの手に落ちて良くなるか、都会の流儀に染まって悪くなるかのどちらかで、その中間はないと言う。車中で声をかけてくるのが、巡回セールスマンのドルーエである。

姉の夫ハンソンは家畜置き場で冷凍貨車を掃除する倹約家だ。キャリーは週4ドル50セントで靴工場に職を得て、靴の甲革に紐穴を打ち抜き続けるが、上着のないまま冷えて熱を出し、3日寝込むうちに職を失う。再会したドルーエは10ドル札を2枚渡し、靴と上着を買えと言う。キャリーは置き手紙を残して姉の家を出る。次の章の冒頭で語り手は、宇宙に働く力のなかで、教えを受けていない人間は a wisp in the wind(風に舞う藁しべ)にすぎないと書く。やがて二人はユニオン公園に面した部屋で暮らし始める。

ドルーエの知人ハーストウッドは、ありふれた酒場のバーテンから身を起こし、アダムズ街の豪華な酒場の支配人になった男だ。ドルーエの属する結社支部の素人芝居で、キャリーはデイリーの戯曲「ガス燈の下で」のローラ役を、ドルーエがとっさに付けたマデンダという芸名で演じ、社交界から締め出される場面で客席をつかむ。翌日、ハーストウッドに駆け落ちを迫られたキャリーは、結婚してくれるなら行くと答える。やがてドルーエの口から、ハーストウッドが既婚者だと知らされる。

妻から離婚の訴えを予告されたあと、ハーストウッドはある夜、閉店後の店で金庫の扉が開くのに気づく。札束を手提げ鞄に移し、思い直して戻しているうちに、錠がかちりと閉まる。彼はドルーエがけがをしたと偽ってキャリーを連れ出し、汽車でモントリオールへ向かう。ウィーラーという名で式を挙げ、店の持ち主の求めに応じて9500ドルを返し、1300ドルを手元に残す。

ニューヨークの章の冒頭には、海はすでに鯨でいっぱいで並の魚は姿を消すという一節がある。ハーストウッドが出資した酒場は思うように儲からず、二人は暮らしを切り詰めるため13丁目の4部屋のフラットへ移る。キャリーは週12ドルでカジノ劇場のコーラスに加わり、ハーストウッドはブルックリンの路面電車ストライキのさなかに電車を運転し、群衆から「スト破り」と罵られる。キャリーは20ドルを添えた置き手紙を残して出ていく。やがて無口なクエーカー娘の端役で、稽古で言われたとおり顔をしかめ続けて評判をとり、新聞には、陽気になりたければキャリーのしかめ面を見よという一句まで載る。

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