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自由海論

じゆうかいろん

グロティウス·近代

グロティウスの海洋法論

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哲学

この著作について

フーゴ・グロティウスが二十代で匿名刊行した国際法的パンフレットで、海洋をめぐる国際秩序の原理を論じた短いが決定的な書。

【内容】

オランダ東インド会社の顧問弁護士として著者は、ポルトガルによるインド洋および東南アジア海域の独占主張の不当性を論破しようとする。自然法の立場から、空気と海は万民の共有物であり、本性上誰にも占有できない。したがっていかなる国家もインド洋を囲い込むことはできず、オランダ商船の航行と交易は正当な権利であると結論する。聖書、ローマ法、スペイン・ポルトガルのスコラ法学者の議論が縦横に引用され、自然法・万民法・諸国家の合意という三層から海洋自由が基礎づけられる。

【影響と意義】

本書から刺激されて、領海と公海を区別する議論が始まり、近代国際海洋法の枠組みが段階的に整備されていった。グロティウス自身もその議論を取り込んで戦争と平和の法を書き、一般に「国際法の父」と呼ばれるに至る。今日の国連海洋法条約における公海自由の原則も、直接の思想的源流を本書に持っている。

【なぜ今読むか】

南シナ海や北極海の領有をめぐる国際紛争が絶えない現代、「海は誰のものか」という問いは四百年前と変わらず生きている。国際秩序の土台にある原理を遡って考え直す恰好の出発点である。

著者

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