儒
『儒教とは何か』
じゅきょうとはなにか
加地伸行·現代
加地伸行が儒教の全体像を平易に解説した入門書
哲学
この著作について
中国思想史学者・加地伸行《かじのぶゆき》が、儒教の全体像を「宗教としての儒教」という一貫した視角から描き直した定番の入門書。
【内容】
本書は、儒教が単なる道徳哲学ではなく、祖先祭祀を中核にもつ生の宗教であると主張するところから始まる。孔子《こうし》以前の原儒たちのシャーマニックな起源、孔子による礼楽の倫理化、孟子《もうし》・荀子《じゅんし》の展開、漢代の国教化と五経博士の制度化、朱熹《しゅき》による朱子学の体系化、王陽明《おうようめい》の陽明学、清代の考証学と、思想的展開の骨格が手際よく整理される。さらに日本、朝鮮、ベトナムへの伝播、家族と葬送の儀礼、現代東アジア社会での残存など、生活に根ざした儒教の姿も扱われる。
【影響と意義】
中公新書として長く版を重ね、日本語で書かれた儒教入門のもっとも読まれている一冊となっている。「儒教は宗教である」という主張は学界でも議論を呼び続けており、本書を下敷きに多くの応答的な研究がなされてきた。
【なぜ今読むか】
お盆、法事、親族の集まり、会社の序列、受験文化など、日常に染み込んだ東アジア的な感覚の背景には、儒教がある。自分や周囲の「当たり前」の由来を、短い新書一冊で辿り直せる手軽さと奥行きを兼ねた書物である。