自
『自己——ある禅僧の心の遍歴』
じこ あるぜんそうのこころのへんれき
内山興正·現代
曹洞宗の禅僧内山興正による道元《どうげん》入門の名著
宗教日本思想
この著作について
曹洞宗の禅僧で安泰寺第五代住持を務めた内山興正(1912〜1998)が、道元の思想を一般読者向けに語り下ろした春秋社刊の入門書。
【内容】
道元『正法眼蔵《しょうぼうげんぞう》』の中核思想である「自己」「修証一等」「身心脱落」を、修行の実体験に裏打ちされた平易な日本語で解説する。坐禅の実践とは「修行の自己」が「悟りの自己」を獲得するのではなく、坐禅そのものが自己の真実の現れであるという「修証一等」の意味を、現代生活の具体例を交えて説く。「自己とは何か」という哲学的な問いを、観念ではなく身体的実践として深めてゆく道元思想の魅力を、宗門外の読者にも伝える構成になっている。
【影響と意義】
内山興正は澤木興道の弟子として戦後の日本の禅の刷新に貢献した人物であり、本書は『生命の実物』『進みと安らい』とともに、道元思想を現代に生きる実践として伝える代表的著作と位置づけられている。海外でも英訳・独訳され、欧米の禅実践者にも広く読まれている。
【なぜ今読むか】
道元の難解な原典に直接挑む前に、その思想の生きた響きに触れるための、最も信頼できる日本語の入門書である。