弁
『弁論集』
べんろんしゅう
イソクラテス·古代
汎ギリシア主義と修辞教育を提唱したイソクラテスの主要弁論集
哲学修辞学古代哲学
この著作について
紀元前4世紀アテナイの修辞家・教育家イソクラテス(前436〜前338)の主要弁論を集成した邦訳である。京都大学学術出版会「西洋古典叢書」の一冊として、小池澄夫訳『弁論集 1』(1998)・『弁論集 2』(2002)の二巻本で刊行された本邦初の本格的訳業である。
【内容】
第一巻には『民族祭典演説(パネギュリコス)』『アンティドシス(財産交換)』など主要作品を、第二巻には『ピリッポスに与う』『パナテナイコス』ほかを収める。イソクラテスはゴルギアスらソフィストの弁論術を批判的に継承しつつ、単なる弁論技術にとどまらない教養としての修辞教育(パイデイア)を提唱した。同時にギリシア諸都市の同胞抗争を批判し、対ペルシア戦争を通じた汎ギリシア的協和を訴える政治思想家でもあった。マケドニア王ピリッポス(フィリッポス2世)への書簡形式の演説では、王のもとでの統一的指導を期待する晩年の構想が示される。
【影響と意義】
プラトン・アリストテレスと並ぶ古代教育思想の源流として、後世の人文主義・修辞学教育に長期にわたる影響を与えた。本邦初の体系的訳出によって、日本の古代哲学・古代史研究は決定的に拡張された。
【なぜ今読むか】
言葉の力で共同体を導くという古典的理想を体現した著作として、現代の市民教育論にも示唆を与え続ける。
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