法
『法然《ほうねん》と親鸞《しんらん》の信仰』
ほうねんとしんらんのしんこう
倉田百三·現代
他力信仰の核心を情熱的散文で語る古典
哲学宗教
この著作について
大正期の人道主義文学を代表する倉田百三《くらたひゃくぞう》が、生涯をかけて探究した他力信仰を語り尽くした古典的解説書。情熱と論理が拮抗する独特の文体を持つ。
【内容】
上篇では法然の『一枚起請文』を起点に専修念仏の成立と意味を、下篇では親鸞の『歎異抄《たんにしょう》』を中心に絶対他力の思想を読み解く。倉田は単なる注釈者にとどまらず、自身の宗教的苦悩を投影しながら、罪悪深重の凡夫が救済される論理を語り直す。「悪人正機」をめぐる解釈、念仏一行への絞り込みの必然性、自力と他力の境界をめぐる省察が、文学者特有の鋭敏さで展開される。
【影響と意義】
本書は1934年から35年にかけて春秋社から刊行されて以来、講談社学術文庫の新版として広く読み継がれている。専門家ではなく在家の文学者が書いた解説書として、戦後の浄土教受容に大きな足跡を残し、宗派を超えた読者層を生んだ。
【なぜ今読むか】
学術書の冷静な叙述では掬えない、信仰の体温が伝わってくる。法然と親鸞を一つの精神運動として捉える視座は今なお新鮮で、信仰を持たない読者にも実存的な問いとして響く。
関連する哲学者
関連する哲学者と話してみる
