家
『家と世界』
いえとせかい
タゴール·近代
インドの民族主義運動を批判的に描いたタゴールの長編
文学政治
この著作について
ラビンドラナート・タゴールが1916年にベンガル語で発表した長編小説。『ギーターンジャリ』でノーベル文学賞を受賞した直後の、反植民地運動が高揚する時代の政治小説。
【内容】
裕福なベンガル地主ニキルは、スワデーシ運動(国産品愛用・英国品排斥)の熱狂を距離を置いて見つめている。彼の妻ビマラは、旧友サンディップ(情熱的な民族主義の扇動者)に魅了されて「家」から「世界」へと踏み出すが、サンディップの運動は暴力と欺瞞に満ちていた。三者それぞれの告白が交互に語られ、理想と現実、個人と国家、愛と扇情のあいだで引き裂かれていく。
【影響と意義】
タゴールは本書で、反植民地運動のなかにも潜む暴力性・排他性を批判し、理性と寛容を掲げた。その立場は同時代のガンディーとも緊張関係を生んだ。民族主義・愛国主義の内的矛盾を描いた書物として、アジア文学史における重要作と位置づけられる。
【なぜ今読むか】
ナショナリズムが復権する現代にあって、運動の熱狂と冷静な批判のあいだでどう立つかを考える示唆に富む。家庭内のミクロな関係と国家のマクロな運動が重なる構図も秀逸。
著者
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