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デイヴィッド・ヒューム·近代

哲学者ヒュームをベストセラー歴史家に変えた六巻本の通史

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歴史哲学

この著作について

デイヴィッド・ヒューム(David Hume)が1754年から1762年にかけて刊行した全6巻の通史(原題『The History of England』)。カエサルの侵入から1688年の名誉革命までのイングランド史を扱う大著である。

【内容】

巻ごとに古代ブリテン・サクソン期、中世、テューダー朝、ステュアート朝と進む。ホイッグ的史観が主流であった当時にあって、ヒュームはトーリー的共感を隠さず、チャールズ一世の処刑や清教徒革命の諸党派に対しても冷徹な観察を加えた。政治史だけでなく、経済、宗教、風俗、文芸、学問の発達を広く視野に収め、経験論哲学者らしい因果関係への鋭敏さで、制度・思想・偶然の絡み合いを叙述していく。文体は平明で知的、イロニーと寛容の精神が全巻を貫いている。

【影響と意義】

本書はヒュームに生前最大の名声と収入をもたらし、18〜19世紀を通してイギリスでもっとも広く読まれた通史であった。マコーリー『イングランド史』の批判的乗り越えの対象となったほか、ギボン『ローマ帝国衰亡史』と並ぶ啓蒙期歴史叙述の金字塔として、歴史学の確立に大きな役割を果たした。人間本性論の哲学者が歴史家として示した洞察は、現代の政治思想史研究にとっても依然重要な参照源である。

【なぜ今読むか】

歴史を党派的物語ではなく、複数の要因の連関として読み解く姿勢は、分極化した時代の歴史認識に対する解毒剤となる。

著者

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