法
『法哲学講義』
ほうてつがくこうぎ
G.W.F.ヘーゲル·近代
近代市民社会の自由・正義・倫理を論じたヘーゲルの講義録。
哲学
この著作について
ヘーゲルがベルリン大学で1818年から1831年にかけて繰り返し行った法哲学の講義の記録に基づく講義録である。長谷川宏《はせがわひろし》の翻訳で作品社から2000年に刊行された。著作として公刊された『法の哲学綱要』(1821年)とは別に、聴講者の筆記ノートを編集したテクストであり、口頭講義の柔軟さと具体例の豊かさを伝える。【内容】抽象法(所有・契約・不法)、道徳(故意・意図・善と良心)、人倫(家族・市民社会・国家)の三段階構成で、自由が制度として実現される過程を弁証法的に追う。市民社会における労働、欲求の体系、職業団体、貧困と賤民の発生、警察と司法の役割、対外関係に至るまで、近代社会の諸問題が具体的に論じられる。家族から市民社会、市民社会から国家へと止揚されていく自由の運動が、抽象的体系ではなく生々しい現実分析として展開される。【影響と意義】公刊著作が法学者ガンスらの編集により形式化された側面があるのに対し、講義録はより柔軟で具体例の豊富な口頭講義の調子を伝える。マルクスをはじめとする後の社会思想に決定的な影響を与えたヘーゲル法哲学の生き生きとした側面を示す貴重な資料である。【なぜ今読むか】個人の自由と共同体的秩序の調停を、抽象論ではなく市民社会の現実を見据えて構想する姿勢は、現代の社会哲学の出発点として今も読み返す価値がある。
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