ハ
『ハイエク』
楠茂樹《くすしげき》・楠美佐子《くすみさこ》·現代
ハイエクの自由論と知識論を整理した中公新書評伝
哲学経済学入門
この著作について
経済法・競争政策研究者の楠茂樹《くすのきしげき》とドイツ思想史研究者の楠美佐子《くすのきみさこ》による、フリードリヒ・ハイエクの本格的入門評伝。中公新書として二〇一三年に刊行され、近年のリバタリアニズム研究と新自由主義批判の双方を踏まえつつ、ハイエクの思想体系を平明に整理した日本語圏の標準的読本のひとつである。
【内容】
本書は、ウィーンの没落貴族家庭に生まれた青年ハイエクの形成期から、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスでのケインズ論争、シカゴ大学とフライブルクへの移動、ノーベル経済学賞受賞、晩年に至るまでの伝記を縦糸とする。横糸として、貨幣・景気循環論、社会主義計算論争、知識の利用と価格機構、自生的秩序、法と立法の理論、進化論的合理主義といったハイエクの主要な理論を章ごとに整理する。サッチャー政権・レーガン政権の改革との関係、二〇〇八年金融危機後の再評価論争、日本の規制改革論議への含意もコンパクトに論じられている。
【影響と意義】
本書は、ハイエクを単なる新自由主義のアイコンとしてではなく、知識論・社会哲学の体系として読む視点を、新書という入門ジャンルで提示した点で重要である。市場と自由をめぐる現代日本の議論に、思想史的な深さを与えてくれる。
【なぜ今読むか】
市場原理への懐疑と再評価が交錯するいま、ハイエク本人の議論に直接触れずに通り過ぎるのは惜しい。新書一冊で全体像をつかむための、最も手軽で信頼できる入口である。
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