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道徳形而上学原論

どうとく けいじじょうがく げんろん

カント·近代

義務論の古典的名著。定言命法を中心にカント倫理学の基礎を論じた小著

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哲学

この著作について

カントが批判哲学の倫理学的基盤を据えるために書いた短い主著で、のちの実践理性批判に先立つ義務論倫理学の入門書。

【内容】

全三章で構成される。第一章では、常識的な道徳意識を出発点に、「善意志こそ無条件に善い唯一のもの」という命題が導かれる。結果や傾向性ではなく、義務から法則に従おうとする意志だけが道徳的価値を持つとされる。第二章では、この意識を哲学的に彫り込み、有名な定言命法の複数の定式(自分の格率が普遍的法則として妥当しうるように行為せよ、人間性を単なる手段としてではなく目的そのものとして扱え、自律する意志として行為せよ)が提示される。第三章では、自由と道徳法則の相互規定が論じられ、理性的存在者としての自律の概念が倫理の根本に据えられる。

【影響と意義】

西洋倫理学における義務論の決定版として、ミル流の功利主義と並んで今日まで最大の位置を占めてきた。医療倫理、生命倫理、AI倫理、人権論の議論のなかで、「人間を手段としてのみ扱うな」という第二定式は繰り返し引用される根本原理であり続けている。

【なぜ今読むか】

結果が善ければ何でもよい、あるいは感情に従うだけでよいという議論に抗するために、なお強い足場を与えてくれる。短いながら骨のある一冊で、自分の仕事や選択の正当性を静かに点検する思考の道具になる。

著者

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