重
『重力と恩寵』
じゅうりょくとおんちょう
シモーヌ・ヴェイユ·現代
シモーヌ・ヴェイユの哲学的・宗教的省察を集めた遺稿集
哲学
この著作について
フランスの哲学者シモーヌ・ヴェイユの死後、友人であった農夫=哲学者ギュスターヴ・ティボンが彼女のノートから主題別に断章を選び編んだ、哲学的・宗教的省察集。
【内容】
本書の中心概念は、人間を自己中心へと引き下ろす自然的な力としての「重力」と、それに抗って上方から働く超自然的な光としての「恩寵」の対比である。この二つを軸に、労働、苦痛、不幸(マルウール)、美、友愛、注意、執着を手放すことといった主題が次々と論じられる。プラトニズム、キリスト教神秘主義、グノーシス、インド思想、工場労働の体験が独自に融合された思考が、短い断章のうちに凝縮されている。「世界の美を愛する」「自分を空っぽにする」「不幸を前にした注意」などの章が特に有名である。
【影響と意義】
アルベール・カミュは本書を熱烈に評価し、戦後ガリマール書店で刊行する運動の中心に据えた。キリスト教神学、現象学、ケアの倫理、フェミニスト思想、政治哲学の多方面に影響を与え、二十世紀の宗教哲学の独自な一隅を占める。
【なぜ今読むか】
一つ一つの断章が強い凝集力を持ち、通読より熟読に向く。読むたびに異なる言葉が残る、繰り返し戻ってこられる書物である。苦しみと美の関係を、甘くせずに見つめ直したい読者の深い伴侶となる。
著者
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