禁
『禁色』
きんじき
三島由紀夫·現代
老作家と美青年を通じて悪と美を問う三島初期の長編
文学
この著作について
三島由紀夫が1951年から53年にかけて雑誌「群像」に連載し、2部構成の長編として公刊した中期の代表作。『仮面の告白』『愛の渇き』に続く三島20代の野心作で、戦後日本文学における同性愛描写の先駆としても知られる。
【内容】
過去に三人の女性から裏切られた老作家・檜俊輔《ひのきしゅんすけ》は、絶世の美青年・南悠一《みなみゆういち》と出会い、彼に「女を不幸にする美少年」を演じさせることで自分の復讐劇を構成しようと企てる。悠一は悠一で、妻康子との市民的な結婚生活を営みつつ、銀座の同性愛サロン「ルドン」で男たちに囲まれる二重生活を送る。美学と倫理、芸術家と生きたモデル、愛と操作のあいだの関係が、重層的に展開される。
【影響と意義】
戦後日本文学においてタブー視されていた同性愛を正面から扱った本格的長編として画期的であり、のちの三島の美学的主題(肉体・老い・悪・演技)の原型を示す。ミシェル・ド・シュフェール、マイケル・カニンガムら欧米作家にも影響を及ぼした。
【なぜ今読むか】
「美とは何を犠牲にして成り立つか」という問いを、極限まで踏み込んで描く。ジェンダーと美学をめぐる現代の議論の土台として、なお読み応えがある。
著者
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